腰痛
腰痛は日本の男性では1番、女性では肩こりに次いで2番目に多い症状となっており、年々増加傾向にあります。特に日本人は世界一座る時間が長い国民と言われています。
腰部は「腰椎」と呼ばれる椎体が5つで構成されています。腰痛の多くはこの腰椎負荷がかかり、痛みが誘発されますが、その原因は様々です。腰痛では椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、原因が明確なものが全体の15%程と言われており、レントゲンを撮っても原因が特定できないと言われています。原因が不明な腰痛ですが、レントゲン上には映らない筋肉や骨格、生活習慣(肥満、筋力低下)やストレス、不眠などの精神的な乱れからも引き起こることもあります。
「寝ながら携帯を見ていた」「背もたれに寄りかかる変な座り方をしていた」など日常生活動作の中にも腰痛となる原因は多く潜んでいます。乱れた姿勢も腰痛を引き起こす事があります。
また野球の現場でも腰痛はよく見られる症状です。痛めるケースが多いのは「トレーニング」ではないでしょうか。力任せに行うトレーニングや、過度な重さでのトレーニングは効果を半減させたり、怪我のリスクを高めてしまいます。腰痛の原因が分からないままプレーを続けていると腰痛が酷くなることもあります。成長期である10代の選手に多く見られるのは「腰椎分離症」「腰痛分離すべり症」がありますが、野球は回旋動作が多いため、片側だけに腰痛が出ることも特徴の一つです。
<原因>
オーバーユース(過度な練習)による疲労骨折が原因となって発症します。疲労骨折はある一定の負荷が腰椎に繰り返しかかることによって起こるでものです。運練習後のケアが不十分であると発症しやすくなります。小学校低学年から中学生に集中して起こります。体の柔軟性がある小・中学生頃に、ジャンプや腰の回転動作を繰り返すことで腰椎の後ろの部分に亀裂(ヒビ)が入る事があります。
特徴は、1回の外力で起こるのではなく、練習などで繰り返して腰を反らす、回したりすることで発生することです。分離症の予後として「分離すべり症」になる恐れがあります。
<症状>
背骨の構造はS字状になっていて、地面に着地した時に衝撃を分散する仕組みを持っています。しかし、腰椎分離症では脊椎のクッションの役割が十分になく、常に腰痛と背中に負荷がかかっている事になります。レントゲン上では腰椎の並びが乱れてしまい、前に飛び出している事が確認できます。体を反る事が困難になる為、様々な動作で痛みが出ます。腰椎分離症では神経を圧迫して下半身の痺れや運動障害に繋がる恐れがあります。運動時痛みが出てしまう事はスポーツ選手にとっては大きな悩みとなります。その為、早期発見、早期治療が必要と言えます。
<予防>
腰椎分離症ではオーバーユースによって起こる事が多い為、休みながらの練習をする事が最善の予防策となります。特に腰椎分離症は小学校低学年から中学生の年代に多く、体力も十分に備わっていない事もあり、「休む」とういう事が大切になります。治療ではコルセットの装着による保存療法がメインとなります。コルセットをつけている期間中は運動を禁止または制限しながら、腰を支えている筋肉の緊張を緩和させたり、体の柔軟性を高めていく必要があります。また体幹の筋力強化も同時に行い、腰の安定性や、練習に耐えられる体作りを行う事が良いです。
腰椎分離症が腰椎分離すべり症に移行します。分離症は背骨の本体である「椎体」とその後ろ側にある「椎弓」と呼ばれる部分が分離してしまう事ですが、腰椎分離すべり症はその分離した腰椎の安定性が徐々に失われて、上下に骨がずれてしまう事を意味します。
<症状>
腰椎分離症で挙げた症状に加えて、より下半身の痺れた痛みが強くなると言われております。長時間の歩行で痛みや痺れが出現する「間欠性跛行」が多く見られます。
<予防>
ヘルニアは「腰痛」が原因で引き起こる症状です。日々腰痛対策をしていく必要があります。下記に書いてある「腰痛の予防・ストレッチ」を参考にしてみて下さい。
別名「急性腰痛」といいますが、急激な激しい痛みを伴います。ぎっくり腰に定義はありません。人それぞれ症状が異なりますが、中には身動きが取れない方もいます。なぜこんなにも強い痛みが出てしまうのでしょうか。体には限界があります。日々の疲労で筋肉が緊張、柔軟性が低下します。それが蓄積し、体が耐えられる限界値を超えると突然強い痛みが生じます。「重いものを持った」「椅子から立ち上がった」「寝返りを打った時」「靴下を履いた時」と原因は日常生活動作の中に潜んでいます。これに加えて、睡眠、ストレス、運動不足、などが加わると発生するリスクはより高まります。また普段から腰痛がある方は要注意です。普段から体を良い状態にしておく必要があります。寝てても痛い、ゴルフのスイングで痛めた、靴下や靴が履けない、寝返りができないなどはよく見られる症状です。
腰痛の症状は様々ですが、レントゲン上で椎間板ヘルニアや狭窄症の疑いがない場合は「筋肉」や「骨格」に原因がある事が考えられます。
長時間の立位や座位で、同じ姿勢が続き筋肉への負荷がかかり痛みが生じます。立位、座位で姿勢が乱れる事により、骨格に歪みが出ます。骨盤の歪み、背骨の傾き、猫背などで筋肉へかかる負担を更に大きくします。こういった症状はストレッチや、体操、運動、入浴で温める事で一時的に緩和しますが、再び同じような姿勢が続くと痛みが出てしまいます。また、腰は上半身と下半身の間にあり、両方の影響を受けやすい部位です。肩甲骨や背中周辺、大腿部の柔軟性の低下や、足のむくみがあると全身が血行不良となると筋肉への血液が不足し、痛める原因となります。
腰は日常生活やスポーツで負担がかかりやすく、痛みが出やすい場所です。その理由として腰を境に上半身と下半身に別れる為、両方の影響を受けやすくなっています。人は背骨や骨盤が軸となり体を支えています。筋肉はその軸を安定させ、動かすためにあります。まず「猫背」です。
<猫背>
・背中が丸まる
・お腹が出っ張る
・顎が前に出る
・骨盤が後に傾く
頸椎の弯曲が強くなり、胸椎は後ろ側に引っ張られます。腰椎は前に迫り出すような形で反り腰となります。つまり首や背中の姿勢が悪くなると腰にも影響があるという事です。逆も然りです。部位別にみるのではなく、体は全て繋がっているものです。
<下半身の柔軟性>
特に「ハムストリングス」の柔軟性は腰痛に直結します。ハムストリングスは骨盤の「坐骨」から膝の裏まで繋がっており、主に膝を曲げる作用があります。体を前に屈める時に背骨が曲がる動きに合わせて骨盤は前に傾きます。ですが、ハムストリングスの柔軟性が低下していると骨盤が前に倒れにくく、動きを邪魔してしまいます。骨盤の動きが悪くなると背骨にかかる負担が大きくなり、腰痛を引き起こす原因となります。
座り方にも問題があり、猫背で仙骨を支点に座っていると骨盤が後ろに傾き、ハムストリングスが常に縮んでいる状態になってしまいます。ポイントとしては両方の坐骨(お尻に付近にある硬い骨)で座ると良い姿勢が保たれます。
<姿勢に気をつける>
姿勢が乱れていると体の可動域は悪くなります。またスポーツをする際にも十分な可動域がないと怪我に繋がります。関節が正しい位置になければ本来の動きはできません。正しい位置に関節がある事でスムーズに関節運動ができますが、乱れていると支えている周りの筋肉が必要以上に働いてしまい、筋肉の痛みが出てします。野球であれば肩関節が代表的な関節です。日々猫背で過ごしていると上腕骨が前に迫り出し、肩甲骨の位置も前に引っ張られてしまいます。そうなると肩関節や肩甲骨の可動域が低下し、肩関節やそれを支える筋肉の損傷するリスクが高まります。単に「投げ過ぎ」が原因で痛みが出るのではなく、関節の位置(姿勢)や可動域を十分に出す事が怪我の予防にもなります。日頃の姿勢が怪我に直結するという事です。
・中腰や前屈みになる姿勢はなるべく避ける
・長時間の立位、座位に注意し、30分に1回は体を伸ばしたり、捻ったりする
・マットレスやベッドが自分に合っているものかを見極める。
・座り方としては溝うちを前に突き出しながら、両方の坐骨で座るイメージで。
<日々のケア>
・なるべく浴槽に浸かり、全身を温めて、リフレッシュする
・起床時や就寝前に全身のストレッチをする(5分ほどでも効果あり)
・腹筋や体幹トレーニングをし、腰を支える筋力の安定させる
<ストレッチ、体操の内容>
・体を捻る、反る
・肩甲骨を大きく動かし、肩を回す
・下半身のストレッチ。モモ裏やふくらはぎを伸ばす
・チューブトレーニングでインナーマッスルを動かす、鍛える
1腰痛で恐れる症状としては、「痺れ」ではないでしょうか。腰部の痛みが原因で起こり得る痺れの症状として以下が挙げられます。
<椎間板ヘルニア>
特徴:筋力低下と感覚異常が見られます。痺れがお尻からモモ裏、脛、足の先まで達します。背中を伸ばしている時や寝ている時は痛みは緩和しますが、前屈みになると神経が圧迫され、痛みや痺れが強くなります。
<腰椎脊柱管狭窄症>
特徴:長時間歩く事ができず、歩行、休むを繰り返す「間欠性跛行 」が見られます。腰痛の痛みはそれほど強くはないが、背中を伸ばし立って歩くとモモや膝からふくらはぎにかけて痺れが出て歩きにくくなります。座ると痺れや痛みは軽減されます。
<坐骨神経痛>
特徴:腰椎椎間板ヘルニア、腰椎脊柱管狭窄症の症状の一つです。
坐骨神経は第5腰椎の椎間関節が何らかの原因で圧迫されたり、脊柱管狭窄症によって圧迫される事で痺れが誘発されます。この特徴としては筋力低下・感覚異常が見られます。もう一つが坐骨神経痛は別名「梨状筋症候群」とも呼ばれます。梨状筋という臀部の筋肉が過度に緊張する事で坐骨神経の通り道を塞いでしまい、神経を圧迫します。特徴として痺れは誘発されるが、筋力は障害されない事です。徒手検査法で確認する事ができます。
これらの症状はほとんどレントゲンでの診断ができます。しかしレントゲンも全てが映るわけでありません。当院では徒手検査法を用いて、お身体の状態を確認していきます。
腰痛でのコルセット(サポーター)は目的によって近い分ける事が良いでしょう。
「安静にする」「痛みを和らげる」「腰への負担を軽減する」など何を目的にするかで選ぶと良いと思います。また痛みを抑えたい、安静を保ちたいのであれば固定力重視のコルセットを使用して下さい。またサイズ感もとても重要ですので、病院や薬局等で専門家に相談して自分に合ったものを装着するようにして下さい。
なお、野球では同じ動きを繰り返すため、同じ部分への負担が大きくなります。また前屈みの姿勢も多い競技です。腰痛を防ぐアイテムとしてはとても有効です。練習中に使用するのであれば固定力よりは動きやすさ、サポート力に優れたものが良いです。
まずは痛みの原因を徒手検査法(テスト)で確認していきます。寝ながら行えるテスト法もあるので、自宅でも簡単に評価をする事ができます。次に立ち方や座り方を見て体の歪みを確認します。また女性であれば産後や生理前後のホルモンバランスも腰痛に影響してきますので、問診でお一人おひとりの生活習慣もお聞きしています。運動はしているか、体の硬さはどうか、体は冷えやすいか、机の高さは合っている、長時間の車の運転はしていないかなど。野球などをしているスポーツ選手にはどのような動きで痛みが出るかを確認します。学生であれば同時に野球肘の検査も行います。
施術は、患部に対してEMS(複合高周波)で体の深部の筋肉(関節を支えているインナーマッスル)にアプローチをし、ストレッチで体の柔軟性を高めて腰への負荷を減らすようにします。また反り腰や、筋力低下(体幹や大腿部)が原因で痛みが出ている方には自宅でできる筋トレやトレーニング、ストレッチ、体操の指導もしています。
また当院では、「骨盤、背骨矯正」を取り入れています。筋肉のみにアプローチをするのではなく、骨格を正しい位置に整えていきます。矯正は大人だけではなく、学生の施術にも積極的に取り入れています。歪みや乱れが生じている骨盤や背骨に対してアプローチをしていく事で、関節の可動域の向上や、筋肉への負担を軽減し、痛みを取ることと同時に自信が持つパフォーマンスを最大限に発揮できるように施術をしていきます。人間が持つ治癒能力を最大限に引き出す事で怪我の予防にも繋がります。